「思いっきり『ふぅっ!』ってやったら、飛んでいかないかな……」

 半分冗談のようだが、その言葉で、一つ思いついた。
 袋をあさって、それを引っ張り出す。

「送風機?」

 そう。俺が引っ張り出したのは、落ち葉を吹き飛ばすのに使う送風機だ。

「そんなのも、入ってるのね」

「カインが店主の口車に乗せられて買わされた物だ」

「なるほど」

 すんなり納得できたらしい。ーーそれはともかく、送風機を雷雲に向け、スイッチを押した。

 ーーゴオォォ……!!

「わ、すごい風!」

「『どんな物でも吹き飛ぶ威力』が売り文句だったらしいからな」

 送風機から送られる強い風に、雷雲が流され始める。

 ーーゴロゴロゴロッ!!

「っ……」

 抵抗しているのか、また凄まじい音を立て始めた。こわ……不快だ。