「ここが、ハロウィンタウン?」

 ミカが、少しおびえたように町を見渡す。

「ああ。雰囲気出てるだろ?」

 カインの指摘に、ミカはこくこくと頷いている。

 ーー俺たちが訪れたのはハロウィンタウン。

 一夜限り、ハロウィンの日にだけ現れる不思議な町だ。カインの言うとおり、町には不気味でおどろおどろしい雰囲気がたちこめている。

「えと、それで、キャンディーを見つければいいんだっけ?」

「ええ。ーー今年もライバルは多そうですね」

 町を行き交う魔物たちを見て苦笑いした。
 この町で見掛けるのは、皆一夜限りのイベントに参加するため町を訪れた者たちだ。

 例年賑わうハロウィンタウンのイベントーー『キャンディーを探せ!』

 文字通り、町のどこかに隠された特別なキャンディーを探すイベントだ。

 見つけた者には、町長であるクイーンゴーストが、一つだけなんでも願いを叶えてくれる。

 願い事の有効期限は夜が明けるまでだが、『なんでも叶う』となれば、皆一様に必死になってキャンディーを探す。