「ギターをお探しですか?」
「は、はい」
「レスポールですか?」
「は、はい」
同じ受け答えしかできない。緊張で汗がまた噴き出してきた。
電車の中よりエアコンは効いてる方なのに一気に額に汗の球ができはじめるのがわかる。
「レスポールですと当店ではハニーバーストが人気ですよ。トラ目が綺麗なんですよ」
店員が言った言葉の大半、意味がわからなかった。
示したのは57万円のレスポール。この人女子高生に何て物を進めてくるんだろう。
「いやぁ・・・ちょっとそれは高くって」
「そうですか。でしたらこちらはいかがですか?」
全く同じギターを進めてきたんだと思ったらそれは10万ちょっと。
人気と言われても高いのばっかりだし、色も形も同じにしか見えなくて何が違うの?って思ってしまう。
種類はこんなにいっぱいあるし、何を買っていいか全然わからない。
「試奏させてください」
復活した棗君は涼しい顔をして後ろから店員に言った。私にとって救いの言葉だ。
店員は「少々お待ちください」と言い残してどこかへ行ってしまった。
「ギターって種類がいっぱいあるんだね・・・。全部一緒に見えちゃって、すごい悩む」
「お前な・・・それを聞いたら楽器作った奴が泣くぞ」
「ハニーバーストとかトラ目?とか何?店員さんの言ってる意味もわからなかったよ」
「聞けよ、それくらい」
「そんなのも知らないの?って笑われるかと思って」
「笑われろよ。お前初心者なんだから無駄な見栄張るんじゃねぇ。ハニーバーストは色の種類、トラ目はレスポールについてる木目。虎の縞模様っぽいからそう呼んでんだよ。っで、どれがいいんだよ」
「え、どれがいいって全然・・・。目移りばっかりしちゃう」
目の前に広がるギターの大群に圧倒されているのもあるし、知識が足りなさ過ぎるのもある。

