カノン




音楽準備室に行くと棗君と咲綺ちゃんがが既にいて、どうやら咲綺ちゃんは昨日のテストで合格できたらしい。

咲綺ちゃんがいち早く私の顔色に気付いたが、寝不足で、とカズ君についた嘘と同じことを言った。


「ギターっていくらくらいするのかなぁ?」

自然と聞こえる様に、ぼんやりと訊ねると、咲綺ちゃんが興味津々に乗り出した。

「ギター買うの?」

「ほら、これカズ君のギターでしょ?ずっと借りておくのも悪いかなって」

「カズはいつまででも貸してやるって言ってたらしいけど」

「いや、その、欲しいギターがあってね」

「そうなんだ。どういうの?」

「え!?」

行き当たりばったりなのが浮き彫りになって行く。咲綺ちゃんの質問が的確に私の脆い部分を突いてくる。

「何隠してんだ、葉っぱ」

「なんにも隠してないよ!私、レスポールが欲しいの!」

「あれって結構重いんだよね?棗が持ってるやつでしょ?」

棗君に確認すると「まぁ」と短く肯定した。

残念ながら私の知るギターの種類はこのストラトキャスターとレスポールだけ。

あと、「人」っていう字に似た形をしたギターと雷マークみたいな形をしたギターを見たことがあるけど、あれってちゃんと弾けるのかなぁって思う。

多分もっといろんな種類があるんだろうけど、棗君の持っていたギターの形が可愛かったから買うならレスポールかなって思った。

重いのは知らなかったけど、そんな持てない程の重さじゃないだろう。

「レスポールって高いかなぁ?」

「ピンキリだな。高いのは何百万とかするし」

「な、なんびゃくっ・・・!!」

棗君が平然と言った金額は予想していた金額を軽々と越え、何も無いのに咽てしまった。

「安いのだと3万とかじゃねぇかな」

「あたし、楽器屋で1万くらいの見たことあるよ」


徐々に値が下がり、私にも手が届くような金額になってきた。

何百万とかするのもあって1万とかするのもあって、高ければ高いなりの長所があるんだろうけど、何百万なんて手が出ないし、安すぎるのも心配になる。

「本物はまず手がでねぇよ。コピーモデルなら山ほどあるからその1万?とかでもいいならいいけど。まぁ、俺は進めねぇな」

「やっぱり、壊れやすいの?」

「知らん」

そうかもしれないけど、一言でバッサリ切られると落ち込むんですが。