「夏休みは毎日練習するって言い出したの棗君だから相当張り切ってるんだとは思う」
「あー、棗ね。佐伯さん大丈夫?あんな高慢ちきと夏休み中一緒にいて、精神病まない?」
そういえば、カズ君と棗君は仲が悪いんだったな。
と言っても、私が2人を同時に見たのは軽音部を見学しに行った日。
怒鳴り合いがいきなり聞こえてきて、咲綺ちゃんは乱闘を始めるし、軽音部って怖いなぁって思ってたのが遠い昔のように感じる。
「確かにスパルタだけど、的確だから文句も言えないよ」
「だからムカつくんだろー」
並んで階段を一段一段上がって行く。
並んでみて思ったけど、カズ君って身長が棗君ほどあるわけじゃない。
肩幅が広くてがたいが良く見えるから勝手に棗君よりも大きいんだと思ってた。
「ほんとにギター弾いてんだね、佐伯さん。部活紹介見た時、意外だったよ。佐伯さんみたいな人がギター弾いてるなんて」
「え、変かな・・・」
「変じゃねぇけど・・・いや、変なのか?だって学校で見たことある佐伯さんっていっつも1人で暗そうだったから」
まぁね、その通りなんだけどね、そんなにはっきり言わなくたっていいんじゃないかなぁ?
友達いなくて暗い奴だって自分でも理解していたけど、第3者に改めて言われると傷つくよ。
「ぶっちゃけ、あれ見た時ちょっと後悔したんだ。咲綺の声聞いた時、奮えたよ。それに佐伯さん達も、見てる奴らもみんな楽しそうでさ、辞めなかったら俺もあの中にいたんだよなぁって思ったら悔しくなった」
「それならどうして戻ってこないの?」
「戻れねぇって。2度と来るか!って啖呵切っとい、てのこのこ戻って来たら間抜けだろ。それこそ高慢野郎に何言われるか」
確かに最初のうちはカズ君の名前を出すだけで怒ってたけど・・・。
「戻ろうよ、軽音部。これから来ちゃえばいいんだよ」
「そもそも、佐伯さんが使ってるの俺のギターでしょ?俺が戻ってきたら困るの佐伯さんじゃね?」
「それは平気だよ。そろそろ自分のギターを買おうかなって思ってたの」
今思いついただけだけど。ギターがいくらするかも知らないけど。
でも、カズ君が言うバンドを見てかっこいいなぁ、って思う気持ちは私もわかる。
私は軽音部に入って良かった、って思っているから、もしカズ君が羨ましいと思っているなら絶対に入った方がいいと思う。

