カノン




「ふたば様、俺にもご利益を」

カズ君は勢い良く顔の前で掌を合わせ、それを拝む様にすり合わせた。

「図々しい!」

「うるせぇ。抜け駆けすんな。咲綺だけずりぃ」

「あたしとふたばは友達だもん」

ねー?と首を傾けて同意を求められたので、頷いた。

これ、なんか嬉しい。


「じゃあ、今から俺と佐伯さんは友達。よろしく、佐伯さん」

「あ・・・、よろしく」

条件反射で差し出された手を握ろうとすると、咲綺ちゃんはカズ君の手を叩いて落とした。

「痛ッ!」

「よろしく、じゃないよふたば!自分の私利私欲の為にふたばを利用しようとしてるんだからね、この男は!」

「人聞き悪いこと言うなよ、お前!」

心配いらなかったのは私の早とちりだったか・・・?

どうやらどちらも短気で、喧嘩っ早いので油断するとすぐに乱闘が勃発しそうだ。


「け、喧嘩しないで宿題やろうよ、ね?昼休みももうそんな時間ないし。出席簿回避しなきゃでしょ?」

「そうだった。時間を無駄にしてる場合じゃねぇ。頼むよ、佐伯さん。俺の脳天守ってね」

あなたの脳天を私が守ります、と言うのはおかしいので、とりあえず頷いて1問目から解説を始めた。

難易度があまり高くなかったことと、出題数が多くなかったこともあってギリギリ昼休み時間中にプリントを書き上げ、去り際には2人に崇められる様に見送ってもらった。