イベント審査の当日を迎えたが、私はまだ棗君の作曲について納得できていなかった。
あれから、棗君が作曲をしながらギターを弾くことは無かった。
本当に突然ぷつり、と曲を作ることをやめてしまった。
棗君は何でもなかったかのようにしていたけど、「別に」と片づけた棗君の言葉がどうしても本心だとは思えなかった。
「何ガン飛ばしてんだよ」
「えっ!?」
棗君に睨まれ、我に返る。
棗君のことを考えていたせいで、棗君のことを穴の開く程見ていたらしい。
それをガン飛ばしてる、ってほんと棗君っていつでも喧嘩腰・・・。
「状況わかってんの?お前が一番頼りねぇんだからしっかりしろよ」
「あ、はい、すみません・・・」
ぺこり、と反射的に頭を下げると棗君は「ったく」と悪態をついた。
何で!?
確かに心ここにあらずだったけど、元はと言えば棗君が何でか曲作りをやめたから気になっちゃったせいでしょ!?
口を尖らせて、棗君を凝視していると、それに気が付いた棗君に「だから何だよ!」と怒鳴られたのでまた思わず謝った。
もう!何してるの私!
沁みついた反射能力はなかなか拭い去れなくて、私は必死に棗君を頭の中から追い出す作業に徹した。

