挙式と披露宴を終え、二次会もビンゴ大会をやったり賑やかに思い出の1日が過ぎて行った。
私と棗君は最後のバンド演奏に向けて、一時退場し、着替えを済ませた。
「もう流石にキツイ年だねー」
咲綺ちゃんは自分が身につけた紺色のヒダ付きスカートを両手で広げて見下ろした。
「完璧、コスプレだな」
カズ君も苦笑いしながらシャツのボタンを閉めていた。
「出オチだぞ、こんなん。白けたらどうすんだ」
棗君は顔をしかめながら短くなってしまったズボンの裾をロールアップしている。
「でも、高校時代に戻ったみたいで楽しいね」
馨君は学ランに袖を通したけど、卒業式の時にボタンは女子達にねだられてあげてしまったとかで、前は全開状態だ。
私のお願いで、皆には高校時代の制服を着てもらい、正に7年前のカノンを再現したいと思っていた。
男性メンバーは若干、丈に変更があったけど、全員が奇跡的に捨てられずにクローゼットの奥にしまい込んでいた。
私は思い出の残る制服を捨てられなかっただけなんだけど、他の皆にとっても特別な時間だったんじゃないかと思って嬉しくなる。
「わがまま聞いてもらってごめんね」
準備ができたところで、皆に対して頭を下げると咲綺ちゃんはにっこりと磨きのかかった笑顔で首を振る。
「当たり前だけど、今は高校時代みたいな自由さは無いんだー。だから、今日は暴れるよ。昔みたいにね」
「パフォーマンスは任せるけど、あまり暴れ過ぎんなよ」
「わかってるって」
棗君が釘を刺すと、咲綺ちゃんは煩わしそうに掌をひらひらと動かした。
「今のあたしがあるのはカノンのおかげだからさ、ふたばと棗の人生の節目にこうして皆で集まれたことが嬉しいよ」
「俺もカノンが無かったらやる気のない不良で終わってたかもなー」
「5人にとって、5人の存在が支えだったり、変化をもたらしたりしていたんだよね」
私にとっても無くてはならない他の4人の存在。
私も誰かに影響を与えられることができたんだろうか。
「心配すんな」
私の頭を棗君がぽんぽん、と軽く叩く。
「お前がいないと、カノンは始まってねぇよ」
そうやって、私の気持ちを見透かして、たったの一言で私の心を温める。
「泣くのは早ぇよ」
棗君は鼻で笑ったけど、私は頷きながら涙を拭った。

