当日はよく晴れた、青空が広がっていた。
まるで、7年前の夏のような雲一つ無い快晴だ。
最後にティアラを頭にのせてもらって、スタイリストの女性がにこり、と微笑んだ。
「綺麗ですよ」
女性が私の前から後ろへと移動すると、白いウェディングドレスを着た私が鏡に映っていた。
自分が映っているとは理解しているつもりなのに、どうしても信じられなくて、じっと鏡の中にいる女の人に見惚れていた。
部屋のドアがノックされると、スタッフさんが入るよう促した。
振り向くと、グレーのタキシードを着た棗君が少し目を大きく見開いた。
「どう、かな?」
ドレスの裾を両手で持って広げてみる。
「・・・まぁ、いんじゃねぇか」
「カッコつけてんじゃないわよっ!」
「痛ってぇっ!」
咲綺ちゃんを先頭になだれ込むように部屋に入って来た馨君とカズ君。
棗君は背中を思い切り、咲綺ちゃんに叩かれて咽せていた。
「やっべ。すげぇ、可愛い」
「ほんとだね。綺麗だよ、ふたばちゃん」
「あー、泣けてきたわ、あたし」
目頭を押さえながら天井を見上げて鼻をすする咲綺ちゃん。
「棗にも言ってもらいたいよね?ふたばちゃん?」
「そうだけど、棗君は照れ屋だから」
「誰が照れ屋だっ」
「大丈夫。さっき、見惚れてたから、棗」
「うるせぇな!」
「出たよ。棗のうるせぇってやつ」
茶化されて完全に不機嫌になった棗君は、タキシード姿の素敵な姿なのに、顔は恐ろしい鬼の顔だ。
3人は「また後で」と慌ただしく出て行き、スタッフの人も忙しなく出入りして動き回っていた。
「棗君も、行かなくていいの?」
「もう行く」
そう言いながらも視線を外しただけで、無言のままその場に立っていた。
首を傾げていると、棗君は突然視線を真っ直ぐに向けて来て、白い手袋をつけた私の手を取って、手の甲にキスを落とした。
「な、棗君」
「あんま、直視できねぇかも・・・」
また視線を逸らした棗君の視界に無理矢理入り、確認をする。
「綺麗だな、って思ってくれたってことでいい?」
「・・・当たり前だろ」
素直じゃないけれど、不器用な棗君なりに必死になってくれていることが嬉しくて笑ってしまうと、棗君は少し照れた様子で「笑うな」と私を睨み付けた。

