「何、してんの?お前ら」
声を聞いただけで、心臓が跳ねてしまうのは最早条件反射。
カズ君も棗君だと察知したのか、ゆっくりと顔を上げて教室の入り口に立っている棗君を睨みつけた。
「さぁ?何してると思う?」
「はぁ?」
皮肉るように笑って棗君を挑発すると、棗君も苛立って顔をしかめた。
「何言ってるの?カズ君。私達、ただ・・・」
「ちょっと、黙って」
そう言って私の口を手で塞いで、小さくウインクした。
「こそこそやってんじゃねぇよ」
「面白くねぇか?」
「さっきから、何なんだよ」
いつもは余裕がある棗君とすぐに殴りかかろうとするカズ君だけど、今は逆転しているように見える。
冷や冷やしながらも、カズ君のウインクの意味を考えてみたけど、答えは出なかった。
「棗」
「あ?」
「俺、佐伯さんが好きなんだけど」
棗君は眉根を寄せて「だから?」と一層低い声で訊ねた。
もしかして、カズ君は棗君の真意を探っているんじゃないかと思った。
でも、棗君の反応はいつものように薄くて、答えがわかってしまった気がした。
「カズ君、やめようよ」
棗君の本音を聞いてしまうのが怖くなって、カズ君の袖を引っ張ったけど「待って」と制されて取り合ってもらえなかった。
「俺に言ってどうしてぇの?」
「棗はどう?俺と佐伯さんが付き合ったらお似合いだと思う?」
「・・・別に。いんじゃね」
ふい、と視線を逸らした棗君を私は涙を堪えながら見つめた。
「だって」
カズ君は不敵な笑みを浮かべて私の顎に手を添えた。
「俺達、付き合っちゃう?」
何で?何で、カズ君はこんな・・・。

