カノン




その日の軽音部は棗君以外の全員が集まることとなって、昨日感じた寂しい感覚を感じることは一切無かった。


「ロックフェスにはエントリーしておくけど、いいよね」

一般応募が始まった夏のロックフェス。

馨君が確認を取ると、迷わず頷いた。


「あったり前でしょ!」

「棗とも連絡は取れたしね」

馨君のさらっとした一言に咲綺ちゃんとカズ君が声を揃えて「はぁ!?」と叫んだ。


「何で早く言わねぇ!?」

「そうよ!これでも結構心配してんのよ!」

「あ、ごめん」

「棗君は何て言ってたの?」


恐る恐る訊ねると、馨君は会話の内容を思い起こすように話した。


「えーっと、来週には行くって」


その続きを待っていると馨君はきょとん、と首を傾げた。


「・・・って、終わり!?」

「終わり」

「何だ、あいつ!どこまでもムカつくな!」


私はそれを聞きながら、棗君らしいな、と笑ってしまった。