「馨!!てめぇ、勝手に何してくれてんだよ!!」
「暴力反対。勝手にやったのは悪かったと思ってるけど、いい演出だっただろ?観客も沸いてたし」
「馨君はアドバイスくれただけで、主犯は私なの!」
「あぁんっ!?」
掴みかかりそうな棗君と馨君の間に入って弁解すると、ヤクザみたいな形相と巻き舌が恐ろしすぎて、体が縮こまった。
「女、ビビらすなよ。みっともねぇから」
「元はと言えばお前だろ!?2度と来ねぇって言ったくせに何、普通にここにいるんだよ!?」
サイドギターを担当しながら現れたのはカズ君だ。カズ君が登場して、観客もざわついたが、1番一言申したかったのは棗君だったはずだ。
ベースを弾きながら苛立っている様子は嫌でもわかったから、目を向けないようにしていた。
それでも演奏が乱れることがないから流石だ。
舞台袖に下りた瞬間、勃発しそうだった爆発を宥め宥めで部室に辿り着いた瞬間、被爆した私達。
「別にー。いいだろーなんだって」
「良くねぇ!お前は永久追放っつたろ!?」
「言ってねぇよ、そんなこと!何様だお前!?どの部活に入ろうが俺の勝手だろうがッ!」
「カ、カズ君!素直な気持ちを伝えようよ。棗君も落ち着いて話を・・・」
「落ち着いてられるか!」
低い声で一蹴されて、体が強張る。棗君とカズ君が殴り合いしそうな寸前で馨君が仲介している。
どうしよう・・・。
これじゃあ初めの時の二の舞だ。
せっかくカズ君、伴奏パートをマスターしたのに。
それだけじゃない。
メロディーパートのリードも弾けるし、「プラチナ」だって譜面を渡したら熱心に練習してた。
もうパワーコードだけじゃないんだよ?
もうすっかり私を追い抜いて、カノンのギタリストとして相応しい位置にまで上ったんだよ?
「あのさぁ!」
傍観していた咲綺ちゃんがいきなり大声を出したので棗君とカズ君が咲綺ちゃんに目を取られる。
「みんな楽しそうにしてたじゃん。拍手したり飛び跳ねたりしてさ。それが答えだよ。それで良くない?」

