1時間の休憩を貰い、校内を探索することにした。
結構強引に物を売りつけようとする生徒に行き道を幾度と無く塞がれるが、咲綺ちゃんが上手く受け流し、1つ目の目的地に辿り着くことができた。
「馨ちゃん、可愛いじゃーん!あっはっはー!」
「笑うな。やっぱり茶化しにくると思ったよ」
馨君をテーブルに呼ぶなり咲綺ちゃんは腹を抱えて大笑い。
馨君はムッとしながら「ご注文は?」とメニューを差し出した。
ピンク色のナース服を身に着けた馨君は女の私でも嫉妬する程、綺麗だった。
手足が白くて細くて長いからモデルのようだ。
馨君のクラスは男女逆転の仮装をしながらのカフェで、他にもゴツイ婦人警官や華奢なホスト風が歩いてたりする。
「ナースさーん!こっちもお願いしまーす!」
語尾にハートが付いた黄色い声を受けて馨君はメニューを持ってそのテーブルに向かった。
馨君の人気ぶりは女装しても健在だ。
「まあ、あれは化けるだろうと思ってたから思った通りって感じだけど、もう1人面白い奴どこ行ったのかなー?あ、メイドさん。カズいないの?」
「カズ?いや、さっきまでいたけど・・・。奥に引っ込んだかな」
「ちょっと呼んでくれない?」
「ああ、うん。見てくるよ」
野太い声のメイドは暖簾の奥に消えて行った。
「いないって言えよ、バカ!」
カズ君の大きい声が聞こえてきたのでにやり、と笑った咲綺ちゃんは立ち上がり、暖簾を2つに分けて中を覗き込んだ。
「バカはあんたよ、丸聞こえ!っぷー!!ゴツ過ぎるー!!」
カズ君の姿を見るなり噴き出した咲綺ちゃん。私は顔を背けて笑いを堪えた。
「くっそ、こうなると思ったんだよ!バレてねぇと思うなよ、佐伯さん!?肩震えてんだよ!」
「し、仕方ないよね?ふたば・・・だって」
声が震えて言葉が途切れ途切れになり、最後には笑いがぶり返し、爆笑を再開した。
カズ君はロングのチャイナドレスを着ていたわけだが、半袖から覗く逞しい腕が男らしさを強調し、化粧もやたら濃い。
「厚化粧がすぎるよ、カズー!」
「面白がって奴らが塗ったくったんだよ!!」
カズ君が指差す調理していた男達は揃いも揃って厚化粧だ。
きっと、仕返しに仕返しを繰り返した結果なんだろう。

