久しぶりに見る家から漏れる光がいつもと同じ場所で私がいなくても何も変わらないことを物語る。
私がいなくてもいつも通り部屋には明りが灯り、食事をし、ピアノを弾き、眠って朝を迎える。
不変を目の当たりにして急に怖くなった。
鍵は持っているが、それで中に入るのは躊躇われた。
異様に固い唾を飲み込み、ゆっくりとした動作で人差し指をインターフォンにかけた。
「はーい」と中から聞こえてきた母の声も変わらない。
足音がして、鍵を開ける音、ドアが開いて――――
「ふたば!!」
突然抱きしめられた。
思いもよらぬ母の行動に目を泳がせていると肩に顎を乗せながら嗚咽を漏らしていた。
痛いくらいに強く回された母の腕。
何年ぶりだろう、母の温もりを感じたのは。
「心配っ、したんだから・・・っ」
「ごめん、お母さん・・・」
自然と漏れた言葉は謝る言葉だった。
母の背中に手を回すと、こんなに華奢だったのかと驚いた。
震えている細い体を感じ、一気に罪悪感が押し寄せてきた。
何で、もっと早く帰らなかったんだろう、と。
それからは言葉もなく、家の前で抱き合いながらお互いに涙を流した。

