カノン




カズ君はサボらず毎日屋上にやって来て、2時間くらい練習をした後、家に帰って練習して、たまにカラオケでも練習しているらしい。

棗君はカズ君の不真面目さに腹が立っていたらしいが、ギターの楽しさに目覚めたか、はたまた棗君の土下座見たさの執念か、カズ君は真面目にギター練習をしていて、上達も速かった。

「カッティングってこんなん?」

カズ君が練習している間は私もギターの練習をしているんだけど、カッティングができないよ、って嘆いていたらカズ君は平然とした顔でそれをやってみせた。

アンプを通してなくても私のとは明らかに違う。

「何で!?」

「本読んで真似してたらできちゃった」

「嘘でしょ!?」

「俺、才能ある?」

「わかんないけど、私より全然あると思う・・・」

カズ君の成長は私が落ち込む程に著しい。

家でも起きてる時間はほとんどギターの練習をしているらしく、今日教えたことが次の日にはほとんど形になってたりする。

カズ君は半月で私を追い抜いてしまった。

私があれだけ言われた勢い良くってのもカズ君は元々思い切りのいい弾き方をするから派手だし、舞台映えもしそう。

「もうカズ君に教えられることなんてありません。卒業おめでとう。逆に教えてほしいよ、カッティング」

「棗には教わってるんだろ?じゃあ、もう慣れじゃね?」

「慣れかぁ・・・」

早くも先生と生徒交代。落ち込み過ぎて、首が下に向いたまま顔を上げられない。


学校に来る前にピアノを弾いて、カズ君と練習して、部活行って帰ったらまたピアノ。

私が慣れる為には練習時間が少なすぎるのかもしれない。

音楽一家の長女として生まれたわけだけど、音楽の才能を持って生まれたわけでなく、全ての結果は努力からくるものだった。

その努力も人一倍じゃないと、いい結果はもたらされない。

このままじゃ、全部中途半端になっちゃう・・・。