『着替え中!開けるな!』
扉には汚ない字で張り紙がしてあった。
これは……どうすべきなんだ……。
聞き間違えたのかもと思い、一応ドアをノックした。
すると、「いーよー」という笹崎の声が聞こえたので、迷いなくドアを開けた。
中に入ると、笹崎と白い着物を着た相澤が立っていた。
「どーよ、これ!」
興奮ぎみに笹崎が言う。
「それ貞子?いいんじゃね?」
「貞子の評価を聞いてるんじゃないってば!」
「かよちゃんもういいって!」
相澤は結構照れてる。
花火大会の時にも思ったけど、こいつは和服が似合うな。
黒髪ロングストレートだからか?
こいつを貞子に選んだのはなかなか良かった。
「髪の毛前に垂らしてみろよ。」
相澤は髪をかきあげ、恨めしいポーズをした。
「ハハハッ、ちょーこえー!さいこー!!」
大笑いすると、長い髪の隙間から俺を覗いて笑った。
ちょっと怖いけど……笑
「これ裾のところ短くない?」
笹崎に言われ、足元を見ると、くるぶしの上に裾があった。
「別にへーきじゃね?下にはいてる体育着見えなければ……」
そう言って俺は着物の裾をめくった。
げっっ!生足!!
「っちょ!!!」
「こ、今野くん!!!」
「わ、わりー!っていうかズボンはかねぇのかよ!」
「はくよ!今は試着だったからはいてなかっただけ!!!」
知らねぇよ、そんなん……。
「もういい!出てけ!変態!バカ!!!!」
相澤に押し出されて俺は社会準備室を出た。



