この恋はまるで夢のようで。





「昼飯、どこで食う?」



昼休み、今野は3時間目の後に奪取した焼きそばパンをかざして聞いてきた。



かよちゃんのほうを見ると、ニヤニヤしながら「行ってらっしゃい」の意味で手を振っている。


「じゃあ屋上行く?」




屋上に出てみると、意外と暖かかった。



今野はコンビニ弁当と焼きそばパンを見比べている。




私は地面にペタッっと座り、お弁当を食べ始める。



「今野はどんな髪型が好き?」




「髪型?今のでいいと思うけど。」




「おろしてるのが好きなの?」




「別に……。なんでも似合うんじゃない?

普通彼氏にこういうこと聞く?」




「いいじゃん……。気になったんだから。」



その時、入り口の方から大きな声が飛んできた。


「司くーん!!」




つ、司くん!?

何、誰?




振り返るとそこにはあのフワ子ちゃんがいた。



何、どういうこと?

今野、この子のこと振ったんじゃないの?




今野の顔を見ると、いやそーな顔をしていて、少しほっとした。




「もうっ、司くんのこと探しちゃったよ。」



「え、なんか約束でもしてたっけ?」



「してないけど~。友達になってくれるって言ったじゃん!」



「言ったけどー……」




これはあれか。付き合えないからお友達からみたいなやつだ。




「一応彼女いるんだけど……。」



フワ子ちゃんがあたしを見る。



「ご、ごめんね!邪魔しちゃって。」



嫌みっぽくなく普通に謝ってくれた。

そんなに悪い子じゃないのかも……。




「えっと、私、川瀬梨紗(かわせりさ)!

1組なんだけど、今野くんのこと好きになっちゃって、昨日振られた者です!」




「あ、えと……あたし相澤日和。よろしくね。」



梨紗ちゃんはニコッと笑うと、


「少しだけ今野くんと話してもいい?」



と言った。




「え、あ、うん……。いいよ……。」





思わず私はOKを出してしまった。