しばらく今野とフワ子ちゃんは話していて、今野が断るような仕草をして、その子から離れた。
今野はあたしに気がつき、近づいてくる。
あたしはほっぺに空気を入れて、膨らませた。
「うわ、なんだお前。何で変顔してんの!?」
「怒ってるの!」
わかってるくせに。
あたしをからかって楽しんでる。
「なんであの子と何分も話してるの!」
「しつこいんだもん。」
「今野だって笑顔で受け答えしてた!」
「いやぁ、遠巻きに俺たちを見つめるお前が面白くってさ。」
「ダメなの!今野の笑顔はダメ!」
「なんで?」
ニヤニヤしながら聞いてきた。
「き……気持ち悪いから!
あの子がかわいそー!」
「冗談でも傷つくんだけど……。」
「とにかくダメ!」
あの子が今野のこと好きになったら、あたしにはかなわない。
笑かけたり、優しく対応したりしないでよ……。
今野はうつむくあたしの頭をぽんっと撫でた。
「帰ろ。」
あたしは黙って小さく頷いた。



