文化祭があるのは11月。
後1ヶ月だ。
うちのクラスの出し物はお化け屋敷になった。
あたしは黒髪ロングという理由で貞子に抜擢された。
カツラとか被れば誰でもできるだろうに、「ここはリアルを極めよう」とか言って……。
でも楽しみだ!
「今日は部活見に来る?」
10分休憩中、今野に尋ねられた。
「んー…………じゃあ行こっかな……。」
「じゃあ頑張っちゃう!」
「いつも頑張んなよ笑」
今野が屈託なく笑う。
「今野はお化け屋敷の役、なんかあるの?」
「やるよ。なんか馬の被り物被るやつ。」
「あれね!つったってるやつだ。地味に通り過ぎるの怖いんだよねー」
「お前も貞子で追っかけるんだろ?
お前どんくせぇから、コケんなよ?」
「こけないよ!意外と貞子の魅力でナンパされたりするかも!」
「何、お前。期待してんの?」
「してないけど……。貞子じゃないときとか、されちゃったりするかも!」
今野があからさまにムッとした表情をする。
「バーカ。されるわけねぇだろ!
お前は俺とシフト丸かぶりさせんの。」
あ、ちょっとキュンとした。
「カッコつけすぎ笑」
やっぱり今野は屈託なく笑った。



