しばらくお店を見て回っていたけれど、歩き疲れ、今野に頼んでベンチに座った。
もっとくっつきたいなー……
今野と二人きりになると甘えたくなる。
私って浅ましいな……。
何時間話しただろう。
久しぶりの二人きりのゆっくりした時間だったから、嬉しかったよ。
今野は?
今日楽しかった?
「今日はいっぱい話せたね。」
「?
あぁ」
そんなんじゃ楽しかったか分かんないじゃんか。
今野の右肩に頭をトンッと乗っけた。
一瞬肩に力が入って堅くなったけど、少しずつ力は抜けていった。
少しなで肩でかわいい……。
今野が優しく私の髪を触る。
今野がどういう髪型が好きか分からないから、いつもみたくおろしてきちゃった。
明日からはもっと色々な髪型にしよう……。
髪を触っていたその手のまま、あたしの顔の向きをグイッと変え、キスした。
2回目だ……。
キスすると安心する。
今野はちゃんとまだあたしのことが好きだ。
かよちゃんはあたしのことチキンって言って、それにあたしは怒ったけど、本当はその通りなんだよ。
自分に自信なんてこれっぽっちもない。
今野はかっこよくて、みんなからモテモテだ。
あたしとは釣り合ってないよ。
どうして今野があたしを選んでくれたのか分からない。
いつも不安でかよちゃんの言う通りチキンだ。
でも、きっと今、今野はあたしのことが好きだ。
今野の右肩にもう一度頭を乗っける。
この幸せはいつか、終わっちゃうのかな……。
まさか今野と結婚なんて…………
「お前どーした?顔真っ赤だぞ。
そんなにキス恥ずかしかったのか?」
「ちがうっ!!もう帰ろ!」
自分の考えていたことがあまりにも恥ずかしくって、ごまかした。
せっかくの時間、もったいないことしてしまった……。



