安心する匂いを手放さないように、今野のセーターの裾をキュッと掴む。 それに反応するかのように今野は私をよりいっそう強く抱きしめる。 「……どうして…………… 本田が好きだって、言っただろ……」 いつもの今野じゃないみたい。 声が弱々しくて、少し掠れてる。 「 ……本当の『好き』の意味なんて、全然分かってなかった……。 こんなに苦しくて、こんなに温かくて。」 「まるで、夢みたい……」 「……おんなじだ。」 まるで、夢のようで、 一瞬、泣きそうになった。