次の日の放課後。
無理を承知で今野に尋ねてみる。
「今野、今日の仕事、すぐ終わるから手伝ってよー」
「言ったろ。俺部活。」
さっさと行ってしまう今野に何か言い返そうと思ったのに、泣いてしまいそうで言えなかった。
こんなことで泣きそうになるとかあたしダサ。
かよちゃんが手伝う、と言ってくれたけど、関係ないかよちゃんは巻き込みたくなかったので帰ってもらった。
班分けの紙を北山先生に手渡すと、「ついでにこれ……………」と言って、パソコンと1枚の紙を手渡される。
「これに原稿打ってくれない?」
もう最終下校時刻は過ぎている。
暗くなった教室で明るい画面に文字を並べていく。
その時、廊下から声が聞こえてきた。
「本田君!かっこいいよねー。
私のタオル受け取ってくれて超嬉しかった!」
どうして?
きっと本田君は私の存在も知らない。
「ずるいよ……。」



