放課後。
屋上には誰もいなかった。
風が吹く音の中でドアが開く音が聞こえた。
今野が私と向かい合う。
口を開こうとした瞬間、今野から話し始めた。
「昨日は梨紗が無理言ってごめん……。」
「『梨紗』なんて言わないで!!」
言った後、自分でも驚いた。
もちろん今野も目を見開いたが、すぐに私を見つめ直した。
「あの日……見たの。
今野と梨紗ちゃんが社会準備室で抱き合ってたの。」
「…………」
「……今野…………」
「……好きなの……。」
「…………」
拒んでくれて構わない。
そうしたら私は今度こそ前に進む。



