この恋はまるで夢のようで。






観覧車は下に着き、私たちは降りた。




本来はカップルで別れて2回目乗る予定だったけど、私が泣き止まないから今野達だけ2回目に乗った。





外のベンチに座ると、本田くんが温かいココアを買ってきてくれた。




「落ち着いた?」



「ごめん……。」




冷えた体の中に温かいココアが流れ込んできた。



その温かさが余計に涙腺をゆるくさせた。


言わなくちゃ。本田くんに、本当のことを。






「…………ごめん……。さっきの……本田くんを想って言ったんじゃないの……」




「…………」




「……あたしが今野のことを忘れられるまで待っててくれるって言ってくれたけど……私にはそんなことできない……」



「…………ごめんなさいっ……」





声を振り絞って言い切った。



こんなの勝手すぎる……。






「……知ってたよ?」




意外な答えに驚いて思わず本田くんの顔を見る。



すごく悲しそうな顔をしていた。


その顔に今さら胸が痛んだ。





「……さっきの言葉は今野に向けて言っていたことだって分かってた。

それを承知で今野の前で相澤を抱きしめたんだから……。」





「…………最後の…足掻きだったんだ……。」






本田くん…………





「……今日は送ってあげられない。ごめん。じゃあ……。」







本田くん…………





止まりかけていた涙がまた頬を伝う。







どうしようもないくらい、優しい人……。







ごめん……。



ありがとう……。