今野…………
どうして…………いつも…………
「何やってんだよ!!」
今野が二人を強くにらんでいる。
「お前ら別れたんだろ?かんけーねぇじゃん。」
あたしの手を握っている方が答え、あたしをグイッと引き寄せた。
やだっ……!!
その時、今野があたしの目の前の男子を思いっきり殴った。
不良は地面に倒れ、その手はあたしからあっさり離れた。
今野が残りの男子を睨み付け、2人は屋上を出ていった。
怖かった……。
あたしは腰が抜けてしまい、地面に座り込む。
手首にまだ触られた感触が残っていて、すごく嫌だった。
あの男子たちが許せなくて涙が出た。
校内でまた出会ったら何か言われるの……?
ふと懐かしい匂いがした。
それはフワッと私を包み込み、暖かい手が崩れそうなあたしを保った。
目を開けると、目の前には見慣れたセーター。
何度もその後ろ姿を目で追っていた。
今、私が両手を今野の背中に回したら、どうなるんだろう……
また、愛してくれる?
違う。
これは現実でも夢でもない。
嘘だ。
今野は梨紗ちゃんが好き。
嘘でもいい。
今野が抱きしめてくれたから、私は崩れない。
これが最後の嘘でいい……。