キュッキュッと体育館をこする音とボールの跳ねる振動が伝わってきた。
2階のギャラリーから下を見下ろすと、バレー部とバスケ部で半面ずつ使っていた。
バスケ部の方を見て、今野を探す。
いた。
体育着を着て、大きい2年生の先輩に教わっているっぽかった。
あれは……
ワンオンワンかな?
バスケ初心者の私でも分かった。
「じゃあ、次。
……………本田!」
「はいっっっ」
黒髪の一年生がボールを持って今野の目の前に立つ。
「始めっ」
合図と同時に『本田君』は驚くくらい素早く今野を抜いてゴールを決めた。
びっくりした。
あんなに速い人が、
かっこいい人がいるなんて……………。
先輩に誉められて笑顔になる本田君に、
私はもう
恋に落ちていた。



