ようやく期末試験が終わり、後は冬休みを待つだけ。
「ひよー、今日も本田くんと帰るの?」
「うん!また明日ー!」
「すっかり様になったなー。バイバイ!」
かよちゃんと別れ、教室を出ると、外には本田くんが立っていた。
「わ、ちょっと待って。マフラー巻きたい……。」
あの後、私は本田くんの前で涙を流した。
声を出して泣いたんじゃない。
勝手に涙が落ちた。
その時、自分がどんな気持ちだったのかさえ思い出せない……。
本田くんはそんな私を抱きしめて言った。
「今野のこと忘れてなくてもまだいい。
いつか、相澤の気持ち全部が俺に向くまで待つから。」
どうして今野が出てくるの……?
本田くんは優しい。
抱きしめる手があまりに温かくて、私はさらに涙を流した。
「お待たせ。」
そう言うと、本田くんは玄関に向かって歩き出す。
私もその後を小走りで追いかけた。