「映画、面白かったね。」
「……。」
映画館を出て、近くの喫茶店に入るが、ひよは相づちすら打たない。
「ねぇ、どうして別れたの?」
「…………」
「ひよ……。」
「……分からないよ。
誰が加害者で、誰が被害者か……そんなことも分からないくらい、あたしはバカなんだよ。
一体どうすれば良かったんだろう……。」
予想外の答えで驚いた。
「……詳しくは説明できないの?」
「……ごめん……。でも今野はなんにも悪くないよ。悪いのはあたし。いままでずっと今野を苦しめてきたんだから……」
そこまで言うと、ひよは静かに泣き始めた。



