早く廊下の突き当たりを曲がってしまおう。
あそこを曲がったら走り出す。
「おいっ!相澤っ」
さっきとは明らかに違うトーンで私を呼び止める。
「何だよこれ!意味わかんねぇ!!」
「何って、書いてある通りだよ。」
「それが意味わかんねぇっつってんの!」
今野の方をゆっくりと振り返る。
喉の奥が苦しい。
「ねぇ、今野……。」
「私たち、出会わなければ…………よかったね」
今野は今まで見たことがないくらい大きく目を見開いた。
私はまた廊下の突き当たりを目指して歩き始める。
今野は何も言わなかった。
ダメだ。
あの角まで。
泣くな。
泣くな。
角を曲がった瞬間、私は走り出した。
速く。
どこまでも。
永遠に走り続けて。
足がちぎれてしまえばいい。
もう二度と、立ち上がれなければ。
今野に会わなくて済む。
5分もしないうちに少しずつ速度は落ちていき、誰もいない公園にたどり着いた。
「……ハァハァハァ……ハァ……っううぅ…………うぅ…………」
目から涙がとめどなく流れる。
今野…………。
もう私を好きじゃない。
邪魔者は、
あたしだったのか。



