この恋はまるで夢のようで。





司side








これだから春は嫌いなんだ。




花粉は飛ぶし、面倒事が多い。

こんなどんくさそうな女と学級委員なんて、面倒事の極みだ。






そういえば、こいつなんて名前だっけ……。



「お前名前なんて言うの?」









「えっ!」




「何で知らないの!?」
とでも言いたげに、不服そうな顔になる。






「相澤……………日和。」











相澤日和か。






「俺、今野司。」



「知ってるよ。」









意外な返事で驚く。



自己紹介したんだから、当たり前と言えば当たり前だけど。







顔を上げては黒板に書かれた自分の字を眺め、丁寧に空欄を埋めていく。



顔を伏せるたび、睫毛で目が隠れて、目をつぶっているのかと一瞬疑ったりした。








かくいう俺は何もしていない。






そんなことより……


「俺も仮入行きたいんだけど。」












「はぁぁ!?」








おとなしそうな外見からは予想もできないくらいすごい顔ですごい声を出した。








かといってすることないし、別にいいだろう。