そしていよいよ時刻は放課後突入。
「愛夢。教室残ってろ」
「う・・・うん。分かってる」
そうしてみんなが出るまで待った私達。
未那も口パクで頑張れよと言って出て行った。
やっとみんな出て行った。
シーンと静まった教室。
女子達のキャーキャー言う声や、
男子達のふざけ合う声が徐々に遠ざかっていく。
振り返って青治を見てみたら窓を開けて空を見上げていた。
わぁ・・・!
きれい・・・。
風に軽く揺れてる髪。
かっこいい・・・。
私の視線に気づいたのか青治は振り返って
「ん?」
って微笑んだ。
「えっ・・・いや別に・・・」
またこの変な気分。
やっぱ私は未那の言う通り青治の事?
「なぁ見てみ?綺麗じゃね?」
「あっ!ちょっ・・・」
私の手を引っ張ってまた空を見上げる青治。
私もつられて空を見上げた。
「・・・綺麗・・・」
「・・・だろ?」
すっかり晴れ渡った雲一つない空に
オレンジ色のまぁるい夕日。
それに学校の桜の花びらが舞っている。
こんなの見た事が無かった。
「これを愛夢と一緒に見たかったんだ」
ドキッ!あぁもうヤバイ。
もっと自分の気持ちに正直にならないとだね。
私は・・・
深海 愛夢は・・・
青治が・・・
風橋 青治の事が好きなんだ。
ねぇ青治。期待しちゃうよ?
だってさっきからずっと引っ張った私の手を離さないもん。
「俺が昼飯ん時言ったあの言葉の意味・・・知りたいんだろ?」
「えっ?!うん・・・」
やっとこの話題。ずっと気になってた。
「未那が言ってた事・・・って本当?」
「えっ!でも私勢いよく口塞いだよ?」
「あれじゃぁ最後まで言ってんのと一緒じゃん。バーカ」
「うっ・・・やっぱり・・・」
はぁ・・・はずいな・・・。
「やっ・・・確かにほんと・・・だけどたまたま・・・だから。
変な意味はないから・・・安心・・・して?」
私なんかに意識されてるなんて嫌だよね・・・。
だから嘘をつく。本当は青治を意識して飲むようにしたんだけどね。
「いやぁ・・・かえって不安になったわ。期待・・・してたのに。俺バカみてぇ・・・」
悔しそうにそう言って俯いた青治。
嘘っ!もしかして青治って私の事・・・
「ふーんって言った時、俺にやっとしたの分かる?」
「う・・・うん。しっかりと覚えてる」
「やった!って確信あったから笑ったんだ。お前が俺の事意識してるから飲み物いちごにしたんだって・・・。でも違ったんだな・・・」
青治は照れ笑いをしながら言った。
でも・・・とても悲しげに言ったのをよく覚えてるよ?
違う・・・違うの。さっきのは嘘だよ!
嘘だって言わなきゃっ!
「・・・がう」
「えっ!何?何か言った?」
「違う・・・違うの。さっき言ったことは・・・」
「・・・」
「青治の言う通り私ずっと青治を意識して飲み物もいちごにしたし、
家でもいちごの飴ばっか食べてるの。クッションとかもいちごの買ったりした。
いちごがそばにあるとずっと青治が隣にいてくれてるみたいで・・・。
私・・・青治の事」
「好き!・・・」
私が言いかけた言葉を青治が塞ぐようにして言った。
「俺もお前が好きだった・・・」
「う・・・そ・・・」
嬉しすぎて涙が出てきた。
「えっ!ちょっ・・・ここ泣くとこ?しかたねぇなぁ・・・」
「私も好き!青治が大好き・・・」
「うん!」
青治は私の涙を手で拭きながら言った。
「俺と付き合って?」
迷うわけ無い!
「うん!私を青治の彼女にしてください!」
まだ片手は繋がれたまま。
青治は優しく微笑んでから、
カーテン越しで私にキスをした。
これが私のファーストキス・・・。