最初で最後に見た景色。












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あたしと歩人は一緒に暮らしている。









正確に言えば、あたしが歩人の家に遊びに行ってたらそのまま居座っちゃった、って言うのが正しい。









歩人お母さんでアルトホルン奏者のカレンさんは演奏会などで世界中を飛び回ってるし、歩人のお父さん、佑都さんはカレンさんと離れたくない、と言ってどこへでも付いて回っている。









ラブラブな2人だ。








歩人とあたしは幼稚園からの幼なじみで、あたしのお母さんは歩人のことをよく知ってるし、付き合っていることもわかっているので、何も言ってこない。









たまに顔見せなさいよ、とは言われる。だから週に1度歩人と遊びに帰ってる。










『あるとー、でーきたよー』









カツ丼のいい匂いがするダイニングからリビングの方へ声をかけると、制服からラフな格好に着替えた歩人が登場。








「うおー、うまそー、はやく食べよー」









満面の笑みでお皿を運んでいく歩人は、毎回あたしの作った料理を褒めてくれる。なんていい彼氏なんだろう。