あなたへ【短編】



緊張に満ちた数瞬の後、静也君のお母さんが口を開く。


紡がれた言葉は、予想外のものだった。


「今まであの子と仲良くしてくれて、本当にありがとう。
あなたのことばっかり考えてたみたいで。
家であんなに特定の人のことばかり喋ることって、今まで無かったから」



そう言って困ったように笑って、差し出されたのは、一枚の封筒。