幸せの天秤

部署に着き、東条さんを探す。


「レンリ、来たか」

あたしより先に、東条さんがあたしに気付き、声を掛けてきた。


「今回もよろしくお願いします」

「あぁ。その子がレンリのとこに入った子?」


祐太くんを見て言う。

「そうだよ」

[祐太くん、東条さんだよ]


[よろしくお願いします]

東条さんは手話で話すあたしたちをジッと見ていた。


「彼、耳が聞こえないんです。でも、仕事は出来る人ですよ」

あたしは東条さんに言う。


「楽しみにしてるよ。とりあえず、会議室で打ち合わせ始めるか」

あたし達は部署から会議室に場所を移した。





「今回の物件なんだが、若い奴らにもチャンスだと思って、デザインを頼んだんだ」

いつもは東条さんだけなのに、他に3人も会議室にいるのはそういうことらしい。


「そうだったんですか。お互いに納得がいくものなら、それで良いです」


「うちのデザインなんだが、これだ」

東条さんがデザインを見せてくる。

あたしと祐太くんはそのデザインを見て顔を見合わせる。


[なんか、俺のイメージと違います]

今回の物件は外を東条さん、中をあたしがやることになっていた。

お互いに分かり合っているあたし達は、大体相談しなくてもそれなりに形になる。


でも今回は、あたしも祐太くんにやらせたので多少修正が必要だとは思っていたが
東条さんに渡されたデザインを見て、多少では済まない。