彼はあたしの顎を掴み、彼の方を向かせる。

自然と彼と視線がぶつかる。



彼は空いてる手で手話をするが、
手話が分からないあたしには何を言っているのか全くわからない。

そんなあたしの様子をみて、彼は悲しそうな顔をする。


これが彼とあたしの距離の様な気がした。


彼は掴んでいた手を離し、苦笑いをする。


[変なこと言ってすいません]


彼はそういうと、自分の仕事に戻っていく。

あたしは、彼を傷つけてしまったのかもしれない。


いつも明るい彼が、あんな表情をするなんて思いもしなった。

でも、あたしは彼にかける言葉が分からなかった。



彼にあんな顔をさせておきながら、何も出来ない。


彼はどんな気持ちで、あたしに手話をしたのだろうか。

あたしが出来ないを知っていながら、彼は手話で話した。


彼はどんな気持ちだったんだろう、、、、。





あたしは彼の気持ちが本当であってもそれに答えられない。

きっと、傷つけてしまう。

でも、さっきの彼の顔を見てそのままにしておくことなんて出来なった。


「祐太くん」


あたしは彼に話かける。

でも、聞こえない彼には聞こえない。



あたしは彼の肩を叩いた。