それから、彼は週5で事務所で仕事する。

アルバイトもしているのに、事務所に来る彼は生き生きしていた。


「無理しなくて良いんだよ?バイトだってしてるんだし」

[好きなんです]


彼はそこらへんの社会人なんかより、責任感がある。

仕事だってちゃんとこなす。

忙しいというのに、週1でデザインを書いてくる。


こんなに力があるのに、社会は彼を障害者ということで
ちゃんと見てはくれない。

つくづく、神様は不公平だ。


昔のあたしも、こんな顔をして仕事をしていたのだろうか?

じゃ、今のあたしはどうなんだろうか、、、。



[レンリさんは、好きな人とかいないんですか?]

彼が働き出してから、数週間が経った頃
彼がそんなことを聞いてくる。

「いないよ」

[そうなんだ]


彼は嬉しそうに笑う。


「祐太くんはいないの、彼女?」

[いないですよ。俺、レンリさんが好きですから]


彼の言葉に顔を見る。

そこにはいつでも、真っ直ぐな瞳をした彼がいる。


「な、、、、何言ってるの」

あたしは彼の瞳から、目を逸らす。