幸せの天秤

あたしはデスクに戻り、マリアに電話をかける。


「マリア、レンリだけど」(英語)


「どうせ、東条がダメとか言ったでしょ」(英語)

マリアもダメ元で、あたしに聞いてきたのだろう。


「正解。会社の人がコンクールに参加するから、それのフォローに入れって」(英語)


「仲間も想いというか、ちゃっかり者というか。
東条の奴、あたしに恨みでもあるのかしら。
あたしがしようとすること全部に、文句ばっかりつけるのよね。
こないだもレンリに仕事やったって言ったら、凄い剣幕で怒られたんだから」(英語)


マリアが愚痴をこぼす。

マリアと部長は、良き理解者で、良きライバルだとお互いに思っている。


だからマリアも文句をこぼすが、決して部長のことを批判したりはしない。



その関係が羨ましくも思う。


「ごめんね、マリア」(英語)


「レンリが謝る事じゃないわ。悪いの東条の野郎よ!
うちの事務所からも1人参加するから、今回はあたしも審査員の断ろうと思ってたし。
レンリや東条が手助する奴には、負けられないから」(英語)


マリアのスイッチが入ったようだ。



相手がマリアだということは、こっちだって手を抜かない。


そうそう、マリア競えるような事は無いんだから。



「あたしも東条も全力でマリアのとこ、倒しますよ」(英語)


「望むところじゃ、楽しみにしてるから。東条に伝えて置きなさい。
アンタには負けないんだから、分からず屋って」(英語)


マリアはそう言うと、電話を切った。



相変わらず、2人共、仲が良いんだから。