幸せの天秤

「じゃ、兄弟に会ったら、何か思い出せるのかな」

「それはわからないけど、君自身はどうなの?会いたくない?」

あの人から兄弟の話をされた時は少しは驚いたけど、会いたいとは思わなかった。


「会いたいとも、会いたくないとも思わなかった」

「どうして?」

どうしてって、、、。

会ったところで、何を話せば良いかわからない。


「先生、兄弟とかいる?」

「俺は1人っ子だ」

「なら、兄弟がいるって言われたらどうする?」

先生は少し考える。


「驚く」

「驚いた後、何を話す?」

「う~ん、特には」

「それと同じだよ。あたしも話すことない。ってことで、今日は寝ま~す」

先生は「わかった」と言い、出て行く。

あたしは病院着に着替えて、布団に潜る。


シーツの肌触りが心地よく感じる。

珍しく外出して動いたせいか、すぐに睡魔がやってくる。



夢の世界に落ちるのに、時間は掛からなかった。