幸せの天秤

「マリアの所のは断れ。オーバーワーク過ぎる」

部長は無理だろうと、言いたそうな顔をする。


あたしは「頑張ります」と笑顔で答えると、また盛大のため息を零れる。




「お前も馬鹿なのか。マリアと一緒に居て汚染されたか」


汚染って、、、マリアはどれだけ有害なんだろう。


「仕事はこれだけじゃない。昨日の喫茶店もあるし、会社に来る依頼だってある」


「あたしの出来る範囲で少しずつ、片付けていきます」


あたしはそう言い残し、デスクに戻り、早速仕事を始めた。


部長は何か言っていたが、
あたしが聞く耳を持たないとわかると、諦めてくれた。



まぁ、この量だと1週間あれば何とかなるだろう。

仕事は絶対に断らない。


依頼されるイコール自分を認めてくれた数だとマリアが言っていた。

なら、認めてくれた人たちを裏切るなんてことあたしには出来ない。



「片瀬さん、依頼者の方が会社にいらっしゃったようです」



受付からの電話で、もうそんな時間になってたんだと気付き、急いで依頼者の元に向った。