幸せの天秤

卓真は、缶ビールを飲みながらソファに座る。

「普通なら、喜ぶところなんじゃないの?」

あたしは卓真から缶ビールを奪い、それを飲む。


「飲みたいなら、冷蔵庫から持って来いよな」

卓真は冷蔵庫に行き、新しい缶ビールを開ける。

「男でも出来たか?」

「あたしも、年だからね」

「まだ、30だろ。40の俺に向って嫌味か」

そう言って、笑う。


「卓真は男だから、何歳でも大丈夫でしょ」

「なんだそれ。辞めたきゃ。切れば良いだろ。みんな家族持ちなんだから、面倒なことにはならね~よ」

卓真は、あたしの客のことを知っている。


「卓真、独り身じゃん」

「俺は女に困ってね〜」

「そのわりには、結婚しないんだね」

「結婚なんてして、誰が得すんだよ」

「あたし」

「冗談も休み休み言え、バカ」


卓真は何でかわからないけど、絶対に結婚をしたがらない。

卓真なら女だって寄って来そうなのに、もう4年近くあたしに大金を注ぎ込んでる。

初めて卓真に出合った時、なんでお金まで払って、女を買うのかわからなった。

けど、卓真にも卓真だけが抱える闇があるのだろう。

同じ人間の様な気がした。

だから、卓真があたしに電話をくれるときは1人で居たくないときなんだろう。

月に4、5回しか会わないが、4年も付き合いがあれば、なんとなくだけどわかる。