幸せの天秤

「大丈夫か?」

車に乗り込むなり、聞かれる。

「ちょっと、疲れちゃって」

「そうか」

それ以上、卓真は聞いてこない。

いつも通り、卓真の家に向かった。

卓真とホテルに行ったのは、一度きり。

それ以降はずっと、卓真のマンションだ。

社長だというのに、他の人たちみたいに金で物を言わせたりなんかしない。


部屋に入り、あたしは真っ直ぐにベランダに向う。

卓真のマンションは高級マンションなだけあって、夜景が一望できる。


「好きだよな、夜景」

「なんか、、、、落ち着くの」


卓真と一緒にいても、体を重ねたのは最初の一度きり。

会ってもただくだらない話をしたり、ご飯を食べたり。

なのに毎月、毎月、大金をあたしに支払う。


「風邪引くぞ」

そう言われ、渋々中に戻る。


「あ、今月分」

中に入って来たあたしに、お金を渡す。


「ありがとう」

卓真からお金を受け取るあたしもどうかと思うが。


「卓真、結婚しよっか」

「はいはい。夜景が見たきゃ、隣の部屋空いてるぞ」

なんて、言われる。