幸せの天秤

事務所に着き、ドアを開けると裕太くんが中にいた。


あたしは、祐太くんに近づく。

[早くない?]

[事務所に来たら、レンリさんに会える気がしたから]


そんなことを言って笑う祐太くんが愛おしく想った。


あたしはギュッと抱きつく。


裕太くんは優しく包み込んでくれる。

落ち着く、、、。

裕太くんといるとぐちゃぐちゃ悩んでいた心が休まる。


[ごめんね、急に]


あたしは祐太くんから離れて、言う。


[俺は嬉しいけど、レンリさんから抱きしめられるの]


裕太くんはそう言うと、あたしをまた抱きしめてくれる。


[さっ、充電できたし。仕事しますか]


あたしたちは何事もなかったように、仕事に打ち込んだ。



パソコンと向かい合っていると、携帯が鳴る。


「もしもし」(英語)

「もしもしじゃないわよ。何も連絡寄こさないで」(英語)


電話の相手はマリアからで、ご機嫌斜めなご様子。

マリアは日本での仕事終え、アメリカに戻って行った。

その頃あたしは事務所の手続きでバタバタしていて、
マリアも気を使ってか、「アメリカに戻る」と一言だけ連絡をくれ
それから、お互いに連絡を取り合うことはなかった。


「最近までバタバタしてて」(英語)

「レンリのことだから、こっちから連絡するまで来ないとは思ったけど」(英語)

軽く嫌味を言われる。


「本当に落ち着いたら、連絡しようとは思ってたんだよ」(英語)

「はいはい。で、どうよ、仕事は順調?」(英語)

連絡しようと思っていたのは事実だが
何かマリアに頼みごとが出来たらついでにと考えていた。

「東条さんのおかげで、何とか食い繋いでる」(英語)

「そう、ならこっちの仕事も少しずつそっちに手伝ってもらおうかしら」(英語)