「………あなたの名前は?」



そう聞かれて、まだ自分が名乗っていない事に気付いた



「燿の奥さんに聞いてない?」



出来るだけ、冷静に聞いた



冷たく聞こえるように、頑張って



「聞いたよ」



それでも彼女は微笑んでいて



「じゃ…いい…」



「あんたの口からはまだ、聞いてない。もう一度聞く…あなたの名前は?」



さっきの微笑みとは打って変わって、少し怒っているかのような無表情な顔で俺を見つめる