「本当に…大丈夫?」



「うん。ただ甘えたいだけ」



フフッと笑いかける少女の口元を手拭いで拭き取る少年は、困ったように少しだけ微笑んだ




「なぎー?」



「なに?」



「私、今、すごくシアワセ」



「…」



「今だけじゃない、凪と過ごす時間、ぜーんぶ幸せなの。幸せ過ぎて怖いくらい」



「そんな事言うな」



泣きそうなくらい小さい声で少年が呟いた



「どうして?」



「…ひねくれ者って笑ったって構わないけど、幸せだって言葉にすると…その幸せは無くなる気がするから」