幸い周りに人はいなかった。

「あつにだけは手ェ出すな。」

「センパイ俺に取られるのが怖いんですか?」

「な、んだと?」


まただ…めまいがする……。


「残念ですけど、その要望は答えられないですね。」

息がしづらい…。

「あ、じゃあ時間なんで先行ってますから。またあとで。」


…最悪だ。





俺は家に帰ってすぐベッドに横になった。

結局そのあとの仕事は何をしたか覚えてない…。

この業界に入ってこんなことは初めてだ。

もしあつがいなくなったら……。


「あつ……」

俺は無意識にあつの名前を呼んでいた。