「そうだ。俺、今から業者の奴が来るから店開けるんだ。2人で留守番頼めるか?」
高価そうな腕時計を見る店長。
「いいぜ。」
「んじゃ、頼むよ。真尋ちゃんもね。」
「あ、はい....」
店長はそう言って、私の頭を撫でてからお店を出て行った。
「タカさんから名前で呼ばれてんの?」
「まあ.......何で?」
店長が出て行ってから少し気まずい雰囲気に浸っていた。
ていうか何を話せばいいわけよ。
話題なんてこれっぽっちもないし。
ま、話しかけてもらってるからいいんだけど。
「ん?俺も真尋って呼ぼうかなーって。」
「親しくない人にはあまり名前で呼んで欲しくないんですけど。」
「これから親しくなればいいだろ?な、真尋。」
なりませんから。なりたくもないし。
嫌味たっぷりな視線を向ければ、再びにこりと笑われる。
「俺のことは空良でいいからな。」
「坂本君で。」
「なんで。」
だから親しくない人と名前呼びしたくないの。
察しろ、バカ。
「空良って呼ばないとイタズラするよ?」
「は?」
何を子供じみたことを。
なんて思っていると、段々顔が近づいてきた。

