「こんな時間にお客が来たの、初めてだよ。」
「すみません........お腹すいたもので。」
「ははっ、謝らなくていいさ。いちお、夜はバーで、昼間はレストランだからね。ま、お客は来ねえけど。」
そりゃそうでしょうよ。
真昼間からこんな怪しげな店、誰も来ませんから。
........私は別ですけどね。
「メニュー表ね。」
「あ、ありがとうございます。」
受け取ったメニュー表を開く。
「..........オムレツ、ください。」
一番安かったオムレツを頼む。
給料もらったからって、すぐに使いたくないからね。
「はいよ。」
顎ひげ男のいかつい表情からは想像出来ない、柔らかな笑み。
ちょっぴりダンディなその笑みに、少し胸をときめかせてしまった。
真尋、一生の不覚。
なんつって。

