それから数日経ったある日。
「真尋ちゃん、もう上がって大丈夫だよ。」
学校が終わってバイトに来ていた。
「え、でも時間......」
「今日はお客さんも少ないし、ね?」
店長さん、もとい平谷さんはそう言って笑う。
このお店は、大学近くにあるカフェで、時給もそこそこいい。
若い人に人気のお店で、いつもは少し忙しいぐらいなんだけど、今日はどうやら少ないみたい。
「........お言葉に甘えて。」
ご好意を頂いて、スタッフルームに足をすすめると、何かを思い出した店長が私を呼び止める。
「そうそう、大事なことを忘れるところだった。はい、これ。」
そう言って渡された茶封筒。
照明の光りのせいか、その中が透けて見える。
諭吉さんだ。