「大丈夫。」
それを堪えるようにうつむく私。
「.......じゃ、帰るわ。悪酔いすんなよ。」
一瞬だけ意地悪な笑みを浮かべて方手を上げる坂本君。
「......気をつけるよ。今日はありがとう。」
「じゃっ。」
ふわふわな髪を揺らし、彼はバス停に足を向けた。
「あ、そうそう。」
何となく彼を見送っていたら、それに気づいたように振り返る。
私はビックリして肩を揺らした。
「な、なに...?」
「駅の近くにバーがあんの、知ってる?シックな感じの。」
バー......?
駅からほんのわずか歩いたところに、黒を中心とした建物はあるけど.....
それがバーなのかどうかは分からない。
「Littleっつーところ。」
Littleというのはそのバーのお店の名前。
そして、私の想像していた建物の場所でもある。
「......知ってる。」
それがどうしたの?
頭の上にクエスチョンマークを飛ばすと、坂本君はふわっと笑った。
「そこで、バンドやってんだ。もちろん毎日。よかったら来てみない?」
あそこでバンド.....?
言っちゃ悪いけど........あのお店は独特しくて、怪しそうなお店。
正直行きたくない。
......けど、それを本人に言ってはマズイ。
「...........暇だったら。」
私は言葉を選んでそう言った。

