ピリピリ…ピリピリ…


俺の携帯の着信が煩く鳴る。

「歩、出ねえの?」

「あぁ。」


今、一番喋りたくない名前のやつから電話。


「親父さん?」

「いや、親父の秘書…」

いつもそうだ。
俺に用がある時は必ず
親父の秘書から。


俺の家は、【湯沢財閥】
      ユサワザイバツ

親父もお袋も、俺が気に入らないらしい。

だから俺は家を出た。



独り暮らしで、1年帰ってない。



「歩、なんかあったら言えよな。」


「あぁ。
今は大丈夫だ。」


「んっか。
し、あの猿出てこねーし
久しぶりにふたりで走りいくか。」


「だな!」



中学ん頃から、仁には助けられている。
俺だけじゃなく、皐月も
ここにいるメンバーも…


なにかしら抱えていて、
そんな俺等を救ってくれた仁。



本当にコイツはすげえ。